日本各地の小さな酒造に眠る、比類ない技術と想い。それを世界へ届けるために、ひとつのブランドが生まれた。「CRAFT WONDER」は、造り手の情熱とブランドの審美眼が交差する場所から、想像を超える驚きの一杯を世に問い続けている。
日本の技術を輝かせたい——原点にあった、ひとつの誓い
ブランドの誕生を語るには、代表・中川の学生時代まで遡らなければならない。
大学在学中、服飾専門学校にダブルスクールで通っていた中川は、地方の染め物職人や縫製工場を訪ね歩く機会を得た。そこで目にしたのは、豊かな歴史と精緻な技術を持ちながら、その価値が十分に伝わらぬまま静かに在り続ける職人たちの姿だった。「日本の技術、歴史、想いのある造り手を輝かせたい」——その感情は、やがてひとつの志として胸の奥に根を張り続けることになる。
時は流れ、三越伊勢丹、コンサル、広告代理店、ベンチャーと異色のキャリアを歩んだ末に、中川は前職時代に副業で酒造のブランディングへ携わる機会を得る。そこで出会ったのが、新潟麦酒が実験的に試作していた一本のビールだった。ウイスキーのミズナラ樽で熟成されたそのビールを口にした瞬間、かつて地方の工場で覚えた感動が、鮮やかによみがえった。「これは想像を超えていた」——その確信が、CRAFT WONDERという物語の幕を開けた。

三つの軸が交わるとき、驚きは生まれる
CRAFT WONDERが商品を世に出す基準は、明快でありながら、本質を突いている。
「造り手が持つこだわりの製造技術」「確立していない新たなカテゴリの創造」「現代の美意識から生まれる見た目」——この三つの軸が掛け合わさったときにだけ、ブランドは「WONDER」と名付ける許可を与える。どれかひとつが欠けた商品は、たとえどれほど完成度が高くとも、CRAFT WONDERの棚には並ばない。
醸造そのものは全国各地の中小酒造に委ねながら、レシピ開発や味わいのブラッシュアップまで、ブランドメンバーが対等なパートナーとして関与し続ける。つくり手の専門性を尊重しながらも、消費者の感動を起点に逆算する視点を持ち込む。その往復の中から、既存のジャンルには収まらない個性ある液体が生まれていく。
こうした哲学に共鳴した酒造たちが、CRAFT WONDERの世界観を支えている。新潟麦酒とはとあるご縁から始まり、ビールへの揺るぎない熱意に惚れ込んだ。岩手のK.S.Pとは、会員制バーで飲んだカシスリキュールの一杯が縁を紡いだ。沖縄・まさひろ酒造は、中川が酒の世界に足を踏み入れるきっかけとなった場所そのものだ。それぞれの出会いに物語があり、その物語がそのまま商品に宿っている。

一本の中に、日本のすべてがある
現在、CRAFT WONDERが展開する商品は、いずれも日本酒造の底力を別の角度から照らし出す試みだ。
新潟麦酒と共に生み出した「Barrel Wonder」は、通常の1.5倍のモルトを惜しみなく使ったアンバーエールを、希少なミズナラ樽で5ヶ月間熟成したバレルエイジドビール。1ヶ月から6ヶ月超まで多様な熟成パターンを試し、5つ星ホテルのバーテンダーや百貨店のバイヤーを交えた試飲を重ねた末に選ばれた、5ヶ月という時間が持つ均整。柑橘とカカオのニュアンスにミズナラが溶け込む複雑な香りは、温度によって表情を変え、飲み手を飽きさせない。バレルエイジドビールというジャンル自体、アメリカやイギリスでは定着しているが、ミズナラ樽を用いた純日本産という試みは、国内においてまだ地図に載っていない領域を切り拓くものだ。
「Eisbock Wonder」はさらに稀少性において際立つ。南ドイツ発祥のアイスボック製法——タンクごと凍らせることで水分を取り除き、エキスを凝縮させる手法は、日本で恒常的に製造し続けるブリュワリーが存在しない、まさに幻の技術だ。製造コストと難易度から多くが手を引くこの製法を、CRAFT WONDERは価値の言語化と高付加価値チャネルでの流通にコミットすることで実現した。造り手の「できる」を引き出すのではなく、造り手が「やりたい」と思っていながら諦めていたことを解放する——そのアプローチがこのブランドの独自性を形成している。
奈良県産の高級いちご「古都華」だけを素材に据えた「STRAWBERRY WONDER」は、香料も着色料も一切使わない。古都華の甘みと酸味が際立つ品種特性を最大限に引き出すために、あえて天然素材だけで向き合った一本だ。岩手のK.S.Pが長年培ってきたリキュール製造の技術と、素材への深い敬意が交わったところに、この透明な美しさは生まれている。
そして、「Rice Whisky Wonder MIZUNARA」。創業143年の沖縄・まさひろ酒造が育んだ泡盛古酒を、5樽のミズナラ樽でさらに熟成させた至高の一本は、日本唯一の亜熱帯気候という立地と、日本最古の國酒である泡盛の製造技術という二つの唯一性が重なって生まれた。台湾のカバランを超えるウイスキーを沖縄の地から生み出すという野望が、このボトルには封じ込められている。

一杯が、食卓に物語を加える
CRAFT WONDERの商品は、それ自体が完結した芸術作品でありながら、食との対話においてさらに豊かな表情を見せる。
Barrel WonderとEisbock Wonderは、フレンチや中華の煮込み料理、しっかりとした味わいの料理と合わせることで、互いの複雑さが引き立て合う。あるいは食後に、ナッツやチーズを小皿に載せてゆっくりと傾ける時間も、このビールにふさわしい愉しみ方のひとつだ。スパイスを効かせた料理や、生チョコ、シャルキュトリー、パウンドケーキのようなデザートとも相性が深く、ペアリングの幅広さは通常のビールの域を超えている。
お米由来のまろやかさとすっきりとした後口を持つRice Whisky Wonder MIZUNARAは、焼肉や焼き鳥、繊細な和食との親和性が高い。食材本来の旨みを消すことなく、むしろその余韻を引き伸ばすように寄り添う。
STRAWBERRY WONDERは、意外にも肉料理との相性が印象的だ。ベリーソースと馴染みの深い鴨肉や焼き鳥、ステーキと組み合わせると、甘みと酸味が料理の脂と溶け合い、一口ごとに新しい発見をもたらす。バニラアイスにひと垂らしすれば、瞬く間に大人のデザートへと姿を変える。
特別な記念日の夜に、あるいは何気ない日常のふとした贅沢として——CRAFT WONDERが理想とするのは、食が好きで、定番を超えた個性ある一杯を求める人たちの、日常に寄り添う存在だ。上質でありながら肩肘を張らせない。その心地よさが、このブランドの真髄にある。

驚きは、まだ地図に載っていない場所にある
「自由でプレミアムなアルコールブランド」——CRAFT WONDERが掲げるこの言葉には、二つの意志が宿っている。ひとつは、既存のカテゴリや常識に縛られない自由。もうひとつは、一切の妥協を排した品質への誇り。
食が好きで、定番よりも個性ある新しいものを求めている人に。ライフスタイルをもう少し豊かにしたいと感じている人に。記念日の夜でも、日常のふとした瞬間でも——CRAFT WONDERの一杯は、想像していなかった感動を手のひらに届けようとしている。
今後はビール・リキュール・ウイスキーのラインナップ拡充に加え、本格焼酎をベースとした新ジャンルの開発、そして世界的な需要の高まりを受けたノンアルコール商品の開発も進む。台湾を起点とした東アジア・東南アジアへの進出はすでに動き始め、数年後には世界における日本産酒類の価値向上に貢献するブランドへと進化することを、中川は静かに、しかし確かな眼差しで見据えている。
日本の小さな酒造たちが持つ技術と情熱は、まだほとんど世界に知られていない。その宝を掘り出し、言葉と美意識を与えて届けること。CRAFT WONDERの旅は、始まったばかりだ。